漫画サザエさんのような家族構成 なのに中身は全く違う


ボクが住んでいた家は 祖父母の持ち家で二世帯住宅だった

祖父母は 母さんの両親だ 

母さんは一人っ子で 祖父母に可愛がられ育ったという

オヤジとは見合いで結婚し マスオ形式で同世帯になったという

話を婆ちゃんがしてくれた


そして上の子ができボクが産まれ6人家族になった

祖父母は2人とも家族思いの優しい人達だった 

無口な祖父だったが

「家族なんだからみんな仲良くせにゃいかん」と言う事は口癖の

ように言っていた

祖父の楽しみはタバコと たまに飲みすぎて冗舌になる酒だ

祖母も穏やかな人で お喋り好きで趣味も多彩な人だった 

2人とも自然を親しみ 庭仕事等をしている姿をよく見かけた

そんな祖父母でも 母さんが 幸せになる壺 や 幸せになる

印鑑を購入すると言い出した時には猛反対していた
          
オヤジは勿論 大激怒した

それでも母さんは

「これは私の為じゃない みんなが幸せになる為に買うのよ」

と押し切り最後には購入していた ボクが小学校にあがった頃の

事だ


日常 祖父母とボクの家族の食生活は別だった 

だけど誕生日やこどもの日とか祝い事がある時は 居間で6人で

ご馳走を食べていた頃もあった

一度 その行事の最中にまたオヤジが怒り出し上の子が叩かれた

事があった それは上の子の誕生日のお祝いをしていた時の事だ

誕生日にかわいそうと思ったが ボクは上の子にたまに叩かれ

たりしてたので 少しいい気味だとも思った それよりもオヤジ

の怒りの矛先がボクに向いてこないかという事を心配した

上の子はボクより数倍オヤジに叩かれている事が多かった

祖父母はオヤジの暴力に対し 叩いたら駄目だ とは言ってくれ

ていたが 娘婿という立場を配慮している気配は子供のボクでも

感じ取れた

ボクは小学校位までは2人の喧嘩がはじまるとよく祖父母の所に

逃げ込んでいた

「また母さんがオヤジと喧嘩しだしてオヤジが叩きだした」と泣

きつくと時々止めに入ってくれた 

今考えると祖父母も一人娘と娘婿の喧嘩をしょっちゅう見るのは

辛かったのだろう

ある時いつものようにボクが祖父母に泣きついた時 祖母から

言われた事はボクにとっては衝撃的だった

「こっちの家とあっちの家は違うのよ 喧嘩しててもこっちに来

たらだめよ 戻りなさい あなたはあっちの家の子供なんだから

そっちはそっちの家族で解決しなさい」

と言われ 逃げ場を失った事も祖母からそんな事を言われた事も

当時のボクにとっては大ショックだった

それから大分後の話になるが 一度だけあの温厚な祖父がキレそ

れを見てスッキリした事がある

その時は玄関先で いつもの様に家事もせず夜でかけようとする

のをやめない母さんを怒鳴りながらオヤジが殴っていた時の事だ 

祖父母が共通の玄関先に出てきて祖父が怒鳴りあげた

 

   「うちの娘になにするか!!!!!!!」

 

ボクが知る限りでは 祖父があんな剣幕でオヤジの暴力に対して

怒ってくれたのを見たのは それが最初で最後だった 

胸がすっとした思いもしたけど

(こんなやり取りをいつも目の当りで見せられる気持ちがわかったか!)

(やっと言ってくれたなぁ)と祖父母に対して思った

ボクは家を出るまでは父の暴力が嫌で嫌で仕方なかった

だけど家を出てオヤジの気持ちが少しだけわかる様になった

母さんにはそれくらいしたくなる要素があまりにもあるからだ